「食」で旅する新観光列車へ ― 近鉄「Les Saveurs 志摩(レ・サヴール 志摩) 」、車内ワインの産地を訪ねて
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近鉄が今年11月から運行を開始する新しい観光列車「Les Saveurs 志摩」は、名古屋と伊勢志摩を結ぶ、近鉄として初の本格的なレストラン列車です。
列車のコンセプトは「美食が誘う、優雅な列車旅」。「食」をテーマに据え、車窓の景色とともに三重の味覚を楽しめる旅を提案します。
お食事やドリンクの提供といった車内でのサービスは近鉄リテーリングが担当しており、ドリンクメニューの考案も手がけています。
今回、この列車で提供予定のワインを手がける伊勢市内のワイナリーを、近鉄の関係者や都ホテルのソムリエ、実際に車内でアテンドを担当する近鉄リテーリングの社員が視察しました。
あわせて、列車そのものの見どころもご紹介します。
「Les Saveurs 志摩」ってどんな列車?

列車名の「Saveurs」はフランス語で「味」や「風味」を意味する言葉で、伊勢志摩の多彩な食材が織りなす奥深い味わいをイメージしています。
運行区間は近鉄名古屋駅から賢島駅までで、停車駅は伊勢市・宇治山田・五十鈴川・鳥羽・鵜方です。
往路は近鉄名古屋駅を11時台に出発して13時台に賢島駅へ、復路は16時台に賢島駅を出て19時台に近鉄名古屋駅に着くダイヤが予定されており、日帰りでも楽しめる行程になりそうです。
運行は週6日を基本とし、季節によっては週7日の運行する場合もあります。

特急車両を改造した4両1編成。座席数は全50席で、すべて座席指定となります。
フレンチコースを提供する4号車は4人席2卓・2人席4卓の計16席、フレンチ膳を提供する1・2号車は2人席15卓・1人席4卓の計34席という構成です。
伊勢市内の醸造所を視察

視察に訪れたのは、伊勢市内にある「伊勢美し国醸造所」「伊勢ワイン株式会社」です。
こちらでは、伊勢市内で採れたぶどうを中心にワイン造りが行われています。



ぶどうを絞る道具や貯蔵用のタンクなど、ワイン造りの工程を担当者の案内のもとで見学し、実際に列車で提供される予定のワインの試飲も行われました。
造り手から直接聞く話は、ワインの背景にあるストーリーを知る貴重な機会になったようです。
ぶどう畑にも足を運び、栽培の工夫を知る

一行は醸造所だけでなく、伊勢市内のぶどう畑も見学しました。ここで印象的だったのが、おいしいぶどうを育てるための土づくりです。

畑では、真珠養殖で使われたアコヤ貝などの貝殻を肥料として活用しており、地域の産業同士がつながる形で栽培が行われていることがわかりました。
三重県ならではの資源を生かしたこうした取り組みは、ワインの味わいだけでなく、土地の物語としても興味深いポイントです。
御薗町のぶどう畑の向こうには、近鉄の車両が走る様子も見える、伊勢ならではの風景が広がっています。



近鉄リテーリングの黒川梨乃さんは、視察を振り返り、生産者から直接聞いた話や三重の魅力を、Les Saveurs 志摩を通じて乗客に伝えていきたいという思いを語っていました。
Les Saveurs 志摩の運行が始まれば、車窓から自分が飲んでいるワインのぶどう畑そのものを眺められる日も来るかもしれません。
車内サービスに向けた準備も着々と

車内でアテンドを担当するスタッフは、2月から3ヶ月間、志摩観光ホテルで研修を重ねてきました。
今回の醸造所視察で得た知識も、実際に料理やワインを提供する場面で生かしていきたいとのことです。
産地への理解を深めたうえで接客に臨む姿勢は、乗客にとっても安心感につながるのではないでしょうか。
運行開始は11月1日、予約受付は9月1日から
レストラン列車「Les Saveurs 志摩」は、9月1日から一般予約の受付が始まり、11月1日から運行がスタートします。
クラブツーリズム等の旅行会社では、「Les Saveurs 志摩」を組み込んだ旅行商品を既に販売中です。
名古屋と伊勢志摩という、それぞれに魅力の異なるエリアを結びながら、車窓の景色、料理、そして地元産のワインを一度に味わえる旅は、三重を訪れる新しい選択肢になりそうです。
産地を訪ねる今回の視察のように、料理やワインの背景にある物語を知ってから乗車すると、旅の楽しみ方もまた一段と深まるかもしれません。
秋の行楽シーズンに向けて、三重の「食」を巡る旅の計画に、ぜひLes Saveurs 志摩を候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。