株式会社近鉄リテーリング

近鉄沿線の生産者や製造・加工業者の方々と連携し、地域の特色を備えた独創的な新商品を企画・開発。その魅力を発掘・発信することを目的とした地域商品ブランドです。2016年6月に第一弾を発売して以降、アイテム数を増やし、2022年10月現在で、30品以上を世に送りだしてきました。お客様から愛される“made in 近鉄沿線”の商品展開を通じて、沿線地域の価値創造につながることを目指しています。

生産者の想いや消費者のニーズに寄り添うことを
大切にしながら、沿線地域の地元素材に付加価値をつける。

成城石井 四条烏丸店の店長を経て、2021年4月に商品部へ。現在は5名のメンバーで、商品開発や新規開拓、販売管理などを分担しながら、「irodori kintetsu」プロジェクトに取り組んでいます。私が主に携わっているのは、素材の発掘や商品の企画、商品パッケージや販促物の作製、販売価格の設定や販売計画の提案などです。近鉄沿線には、魅力的な素材はあるものの、マーケティングや販売が苦手な生産者様が多くいらっしゃいます。それらの発掘・商品開発・販売を当社が担い、沿線地域内外に広く魅力を知ってもらえるよう、販路拡大にも努めています。
商品開発を進めていくうえで大切にしているのは、生産者の想いや消費者のニーズに寄り添うことです。加工品は前例が多いので、そのなかでいかにお客様に喜んでいただける、これまでにないアイデアを絡められるかが重要。沿線地域の地元素材に付加価値をつけてお届けできるよう、創意工夫を凝らしています。根底にあるのは、商品開発に関わる皆様へのリスペクトの心。生産者の方とより良い関係を築き、隠れた魅力的な素材を探し出し、沿線地域の魅力を伝え、盛り上げていくことが、「irodori kintetsu」のミッションでもあり、自分の意見がダイレクトに反映されるので、やりがいも大きいです。

コロナ禍で売上げが減少した果樹園の力になるべく、
素材の味わいが楽しめるジャムを商品化。

異動してきて最初にゼロから手掛けたのが、奈良県天理市で約1,000年続く、松田果樹園+(マツダカジュエン プラス)さんの八朔やみかんを使ったジャムでした。今まで青果物だけを出荷されていたものの、コロナ禍で売上げが減少。これからは加工品にも力を入れたいと伺い、試験的につくられたジャムを試食してみたところ、とてもおいしく出来上がっていました。新しい形で販売したいという提案をとても喜んでくださり、農園へ見学に。果物栽培に最適な日当たりの土地であることなどの説明を受け、品質の高さを確信し、素材の味わいが楽しめるジャムの開発が決まりました。

素材を活かすため、材料は果物とグラニュー糖のみ。その割合や煮詰める時間によって、甘さや濃さ、果肉感の微調整をしていきました。試作品にはなかったピールを加えて改良し、ほろ苦さも感じる大人のジャムに。商品部のメンバーやターゲット層である女性社員にも試食してもらい、完成させました。パッケージは社内のデザインチームにイメージを伝え、いくつかの案から選んで調整。2022年7月に発売し、おいしいとご好評をいただいています。フタ止めシールを葉っぱのデザインにして一体化させたのは私の提案だったんですが、その評判も良くて嬉しかったですね。

開発した商品が喜ばれると、やりがいもひとしお。
小売の現場で働いた経験が、今に生きている。

「irodori kintetsu」の商品は、当社が展開するお土産店舗「GOTO-CHI」などで販売していましたが、2021年5月からはECサイト「いろどりモール」でも展開。同年11月には、大阪阿部野橋駅にアンテナショップもオープンさせました。店舗で商品陳列などを行っていると、お客様のご意見やご感想が伺え、それが新しい商品開発のヒントになることもあります。自分が開発した商品がお客様の手に渡ると嬉しくなりますし、魅力的な商品をつくることで、お客様に商品を選ぶ楽しさを提供できていることにも喜びを覚えます。
お客様からは、味がおいしいだけでなく、あまり見かけないデザインの商品が多いので、シリーズで集めるのも楽しいといった嬉しいお言葉も頂戴しています。商品部に来るまで小売の現場で働いた経験が、お客様満足をどう高めていくかを考える、大きな軸になっていることは間違いありません。どう工夫すればお客様の心に響くか考えるベースには、どういった商品、どういった売場が喜ばれるかという試行錯誤の積み重ねが生きています。

今後挑戦したいこと

開発のスピードのアップと販路の拡大が、現状の課題。一件ずつ丁寧に取り組みつつも、品数も販売数も増やしていけるよう努めています。さらにはSDGsの視点をもった商品開発も目指すところ。お困り事のある生産者がいらっしゃれば力になりたいと、県庁や市役所、展示会などに足を運んで開拓。会社全体で沿線地域の魅力発信に取り組んでいるので、他部署からも情報が集まってきています。目標は、まだまだ知られていない魅力ある地域商材を発掘し、広めていくこと。そのためにも商品開発やマーケティングの知識を増やし、自身のスキルアップにも力を尽くしていきたいです。